さて、令和6年(2024年)10月27日に投開票が行われた衆院選も、もう終わってから一ヶ月が経とうとしております。早いものです。
巷間噂になっていたスケジュールよりも遥かに早く解散、総選挙となったため、どこの政党、どこの陣営も、バタバタと準備が不十分なまま選挙戦に突入してしまいました。
もちろん、衆議院の解散時期は予測不能で、だからこそ「常在戦場」と言われるわけであり、いつ解散してもいいように常に万全の準備を行っておけば良い、というのは、その通りです。しかしながら、選挙の準備をするにはお金も人手もかかります。限られたリソースで最大の成果を狙うならば、選挙戦においてもトヨティズムのジャストインタイム方式的な考え方で「在庫」を抱えず、選挙がいつ行われるかを想定して、そのタイミングで最大の票が獲得できるように、直前になって準備を進めていくのがベストというものです。
野党の選挙協力としての、立憲民主党と日本共産党の候補者調整がつかないうちに解散するというタイミングは、良い判断だったかと思いますが、その成果が霞んでしまうくらい、自民党本部の失敗は大きいものがありました。
埼玉15区について
自民党 田中良生氏(現職)は手堅く6期目の当選を致しました。
日頃の地道な活動が功を奏したと言えましょう。
初当選以来、無派閥として活動してきたこともあり、政治資金収支報告書への不記載問題とも縁がなかった点も、選挙戦においては有利に働きました。
地元である蕨市は十分に固めているため、特に無党派層比率の高いさいたま市に重点的に力を入れていこうという方針でした。
結果は、
得票数 | 得票率 | 有効投票数合計 | |
桜区 | 14,363 | 37.3% | 38,493 |
南区 | 27,840 | 33.1% | 84,112 |
蕨市 | 11,932 | 38.4% | 31,053 |
戸田市 | 19,838 | 36.5% | 54,369 |
73,973 | 35.6% | 208,027 |
やはりと言うべきか、蕨市の得票率が38.4%と高い一方で、南区の得票率が33.1%に留まっています。
桜区はそれほど低くはありませんね。同じさいたま市といえども、南区とはまったく様相が異なり、「都市型ではない」と言えるかもしれません。
これからも南区には重点的に力を入れないとならない、って感じですかね。
埼玉15区については、いろいろ秘密もあるので、これ以上は、ここで書くのは控えます。
埼玉県全体について
自民党の小選挙区候補者は、多数負けました。
個別に見ていくと、(落ちるべくして落ちた選挙区もあるのですが、他方で、)勝てるはずだったのに負けなくてもいいのに負けた、という小選挙区が幾つかありました。
その理由は、例の2,000万円問題です。この影響は、極めて甚大でした。一気に自民党に対する世間の風向きが変わりました。そしてこれは、埼玉県だけの話ではありません。全国で、勝てるはずの小選挙区で勝ちそこねてしまいました。
このような結果をもたらした「2,000万円問題」の意思決定に関わった方には、然るべき処分が必要だと思います。
報道によると、森山幹事長の独断で行われたとのことですが、本当にそうなのか? まず、意思決定プロセスをはっきりと検証するべきです。
そもそも、このような重大なことが、幹事長の独断で決める事ができるのは、組織のガバナンスに問題があるのではないかと思います。
・2,000万円問題の意思決定プロセスの検証
・責任者の処分
・現状の意思決定プロセスにガバナンスの問題がないかどうかの検証
が必要と思いますね。
政治資金収支報告書への不記載問題について、世論は納得していない
世論が納得していないのは明らかです。より詳しく説明責任を果たすことと、より厳しい処分を求めています。
しかしながら、自民党としては、4月の時点で処分を決定して実行済みです。
一旦、組織として下した処分を、ひっくり返すというのは、これもまたガバナンス上は悪手です。
4月時点での処分の内容・程度は失敗でしたが、その認識の上で、組織改革をこれからどう進めて、党勢を回復していくか、ということです。
今後の自民党の立て直し
自民党は、「自公で過半数」という選挙前の目標が未達であったにもかかわらず、石破体制続投ということに決定しました。
個人的には、不満はありますが、一旦決まった以上は、現体制を支えるべく、私も自分の持ち場で尽力したいと思います。
次の国政選挙は、来年、令和7年(2025年)7月の参院選です。
それまでには党勢を回復し、「選挙に勝てる体制」を作ろう、というのが、党内でのコンセンサスだと理解しています。
自公で過半数を割ってしまいました。
予算委員会委員長などの重要ポストを野党に渡さざるを得なくなりました。
国民民主党の、若者への分配を強化しようという政策の意図はともかくとして、財源についてまったく考慮されておらず、選挙対策として十分な議論を経ずにいいかげんに思いつきで作ったかのような「103万円の壁」撤廃案を飲むことを強いられるなど、政策面でも妥協を強いられています。
この状況を打破するためには、自公で過半数を確保することが必須であり、党勢が回復し、「選挙に勝てる体制」にリニューアルし次第、なる早で解散総選挙に打って出るべきだ、という考えを持つ方が党内には多いようです。
次の解散総選挙は、かなり早くやって来るかもしれませんね。
自民党埼玉県連から党本部への要望
既に、要望書を提出済みです。
・森山幹事長の更迭を求める
・組織活動費の使われ方の明確化を求める
・選挙区支部長不在の選曲支部に対する組織活動費の支出を明確化するよう求める
・小選挙区・比例区重複立候補を廃止し、女性候補を増やすよう求める
という内容です。
党本部にとっては厳し目の内容じゃないですかね。
埼玉県内の、負けた選挙区の今後
・小選挙区で負けて
・比例復活も出来なかった
小選挙区が、埼玉県内には5つあります。
埼玉5区(さいたま市大宮区、西区、北区、中央区)
埼玉6区(上尾市、桶川市、北本市、鴻巣市)
埼玉9区(飯能市、入間市、狭山市、日高市、毛呂山町、越生町)
埼玉10区(東松山市、坂戸市、鶴ヶ島市、比企郡)
埼玉13区(久喜市、蓮田市、幸手市、白岡市、伊奈町、宮代町、杉戸町)
これらの5選挙区については、新たな選挙区支部長を選び直すために公募を行うことを既に決定しております。詳細のスケジュール、条件等はまだ発表されていません。
元職も応募することができますし、それぞれの地域の現職の地方議員・首長の中に応募することを検討している人もいると思います。
現時点で党籍がなくとも、域外に住んでいても、応募することはできます。
尚、埼玉14区(草加市、三郷市、八郷市)については、自公連立の枠組みの中で、自民党が全面的に応援した、公明党 石井啓一 前代表(比例重複立候補せず、小選挙区単独立候補だった)が落選してしまいました。
自民党埼玉県連は、埼玉14区の選挙区支部長については「保留」と発表しています。
埼玉県内における自公の関係
上記のように全面的な自公協力体制による埼玉14区石井啓一さんを落選させてしまいましたし、今の時点では自民党埼玉県連としては「次も石井さんを担いで応援頑張るぞ」という状況ではありません。
これから自公の関係がどうなっていくかは、何ともまだ分かりません。
・公明党としては、「自民党の支援が不十分だった」と自民党に対する不満があるでしょう。
・自民党としては、「うちがあんなに頑張ったのに、公明党が・・・」と不満があるでしょう。
今のところ、お互いの不満を総括し、今後に向けて自公が話し合う段階には至っていないようです。
私としてもコメント不能ですね。