占守島の戦い

「歴史に もしも は無い」はあり得ない。

これ、よく言われる言葉だけど、間違っている。

歴史を学ぶのは、過去のケーススタディを研究して、現在、そして未来のディシジョンメイキングに活かすためである。
そのためには、過去のある局面において、条件が変わっていたらどうなっていたか?をシミュレートすることが役に立つ。
真珠湾攻撃において、米国の空母を8割方撃沈していたらどうなっていたか?
ミッドウェイ海戦において、帝国海軍が加賀、赤城、蒼龍、飛龍を失っていなかったらどうなっていたか?

 

占守島の戦い

『8月17日、ソ連軍上陸す―最果ての要衝・占守島攻防記』
大野芳, 新潮社, 2010年7月

この本、最近読み終えた。

恥ずかしながら、2年前にとある講演会で話を聞くまで、この占守島の戦いなる戦史をまったく知らなかった。

北千島の先っちょの島であり、精鋭部隊が配置されていた。想定している敵は米国であり、日ソ中立条約がまだ生きている状況下でソ連は敵としては想定していなかった。

昭和20年8月17日、すなわち我が国が敵方に降伏した後で、ソ連が占守島に攻め込んできた。

占守島を守備する部隊は、武装解除に備えて、既に粛々と書類や武器を投棄し始めていたのだが、ソ連の不法な侵攻を迎え撃ち、激しいバトルとなった。

その際、戦車第十一聯隊長の池田末男大佐(後、少将に進級)は、

諸氏は今、赤穂浪士となり恥を忍んでも将来に仇を報ぜんとするか、あるいは白虎隊となり、玉砕もって民族の防波堤となり後世の歴史に問わんとするか、赤穂浪士たらんとするものは一歩前に出よ。白虎隊たらんとする者は手を挙げよ。

とスピーチし、これに全軍一丸となって雄叫びを挙げて呼応し、ソ連と命がけで戦う覚悟を決めたのだという。
このスピーチの絶妙なところは、仲間と別れ敵に背を向けて内地に還り、敵前逃亡との汚辱に耐えつつ吉良の首を掻く機を伺うもまた勇なり、とエクスキューズを残してあげているところだ。
帝国陸軍戦車第十一聯隊のスピリットは、北恵庭に駐屯して北辺の守りにつく陸上自衛隊第11旅団第11戦車大隊に引き継がれている。

結果は、wikipediaの方が詳しい。
日ソともに千人以上の戦死者を出しつつ、戦闘レベルでの停戦をすることになる。

 

占守島の戦いで生き残った皇軍将兵の多くは、ソ連に不法にシベリア抑留され、正確な記録を残せなかったために、占守島の戦いは正確な戦史が後世に伝わっていない。
行ってみたいけど、ビザはたぶん取れない。

本書は、綿密な関係者へのインタビュと、ロシアの公文書を解きほぐしていくことによって、正確な戦闘の姿を炙り出していこうという一つの試みである。

 

 

占守島の戦いの成果

占守島守備隊が命がけで戦っていなかったら、北海道までソ連は侵略し、我が国は分割統治されていたかもしれない、占守島守備隊は日本を救ったのだ、という見方がある。
ソ連の侵攻軍が占守島の戦いの後始末に釘付けされている間に、米軍による北海道進駐が完了したため、ソ連が北海道にまで手を伸ばすチャンスを失った、という捉え方である。
http://nezu621.blog7.fc2.com/blog-entry-1604.html

他方で、ソ連による占守島侵攻と、北海道侵略の検討は別ルートの話なので、そもそも無関係であり、占守島守備隊は無駄死にだった、という見方もある。
http://d.hatena.ne.jp/Mukke/20080822/1219404745

 

どちらが正しいかは分からない。
しかし、占守島の皇軍将兵が、国を護るために戦う必要があると考えて戦ったのだと信ずる。

 

ついでに言うと、ごく控えめに言って、私はロシアがあまり好きではない。
昭和14年生まれの父親(故人)からは「ロシア人は日ソ中立条約を一方的に破って火事場泥棒のように攻めこんできた卑怯で意地汚い奴らだ」と言われて育ってきたし、まあ概ね同じように捉えている。

しかし、この本でも描かれているし、たしか司馬遼太郎の『坂の上の雲』において、旅順の203高地を巡る戦いでも描かれていたけど、ロシア人も日本人と同じように、戦場で特攻をしたらしい。我が国と異なり戦術レベルなものではなく、あくまでも戦闘の現場レベルの匹夫の勇といったものだが、少なくとも、ロシア人が、自分が大切にするもののために命を捧げることを良しとする価値観を持っていることは間違いない。なので、個人的に友達になれば信頼して背中を任せられる連中なのだろうとは思う。

201206_旅順 203高地より旅順港を望む
(2012年6月、203高地より旅順港を望む)

あと、ロシアの女の子ってぐうかわだよね!
http://blog.livedoor.jp/nizigami/archives/36481822.html


【蕨・戸田市の小6~中3対象】リーダーシップ育成プログラムのご案内

蕨市、戸田市の小6~中3を対象とした、リーダーシップ育成プログラムをご案内します。

半年間に渡り、座学、ディスカッションを通して世界の飢餓や貧困を考えて、世界をリードする日本国のリーダーとなる素質を鍛えてもらおう、という企画です。

「人間力を~」とか、「グローバルリーダー~」とかちょっと仰々しい題目ですが、まあお気軽に参加してみるとイイと思います。

費用も3,000円で、実費相当です。

私が会員となっている、(社)とだわらび青年会議所が主催しています。
この企画の内容は、上位組織である(公社)日本青年会議所、さらにその上の世界組織である国際青年会議所のオフィシャルなプログラムに準拠したもので、最終的にはニューヨークの国連本部に少年少女国連大使として訪問するチャンスがあります。

↓ 昨年度(2013年度)の日本青年会議所 少年少女国連大使事業の報告
http://www.jaycee.or.jp/2013/global/?p=300

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(画像はクリックすると拡大する)


蕨市議会3月定例会 本会議の議案質疑が終了

本会議の議案質疑が本日終了

本日2014年3月5日(水)、蕨市議会3月定例会において、本会議の議案質疑が終了しました。3日間に渡って行われました。

3月定例会は、予算案の審議をするので、ボリュームが大きいのですが、議案質疑においては、各会派が代表質疑というのを行います。予算案全体に対して、網羅的に問い質すものです。

どこの会派も、注目するポイントはほぼ同じです。
例えば、予算書は歳入-市税(個人分、法人分)から始まって、固定資産税、都市計画税、地方交付税交付金・・・という順番になっているのですが、ほぼ全ての会派が、
・市税 個人分、法人分それぞれの積算根拠は何か。
・固定資産税、都市計画税の対前年比増(あるいは減)の理由は何か。
・地方交付税交付金の算出根拠となる基準財政需要額と基準財政収入額は何か。


と同じような質疑をすることになります。

質疑と答弁は、あらかじめ文書で通告した通りに行われなくてはならないので、「既に他の会派のところで回答が得られているから省略」ということができません。
従って、同じような質疑-答弁の組み合わせを何度も繰り返し聞くことになります。

 

明日は、総務常任委員会の付託事項の審議

予算案を含む全ての議案は、3つの常任委員会に振り分けられて付託されます。
それぞれの委員会の中でさらに細かく質疑しつつ考えて、「可決すべし」、「否決すべし」と結論を出すことになります。

本会議の質疑では、答弁者は部長クラスですが、
委員会の質疑では、答弁者は主に課長、次長、係長クラスとなります。

また、
本会議の質疑では、事前の通告をした上で、あるテーマについて、登壇で一回発言した後、再質疑は2回までしかできないという回数制限がありますが、
委員会の質疑では、事前通告なしのぶっつけ本番で、時間、回数制限なしで聞くことができます。

委員会が出した結論を、その後、本会議に上げて、本会議場で再度、討論(賛成か反対か意見を述べる)、採決という手続きを取ります。

2階層になっているわけです。

明日2014年3月6日(木)は、総務常任委員会が行われます。
私はこの総務委に所属しておりますので、明日は出席する予定です。

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平成26年度 蕨市予算書。
お茶をこぼしてしまって染みだらけ(´・ω・`)


ビットコイン騒動について

ビットコインの取引サイト運営企業:マウントゴックス社が経営破綻した。

経営破綻の原因は、システムをクラックされて、保有しているビットコインを全て盗み取られてしまったからということだ。一部の報道によると、そもそも自社保有分と顧客預かり分を分別管理していなかったようでもある。また、私の理解では、ビットコインのデータは全てロギングされているはずなので、仮に盗み取ったとしても使えないのではないかと思うけど、ちょっと曖昧な知識なので、実はよく分からない。

 

一般的な世間の反応は、平たく言うと「ざまーみろ」といったところかと思う。

よく考えて見れば、金融詐欺に騙された被害者に対して「お気の毒に」と思うことはあっても「ざまーみろ」などという酷いことを言う人はそうそういないはずで、これは異常なことだ。

この背景には、暗黙裡のうちに、主権国家体制を脅かすアナキズムに対する本能的な恐怖が在る。
多くの人は、国家の力が及ばないビットコインに恐怖を感じており、あんなものは潰れて欲しいと思っているのだ。

 

horiemon.com : メタップス佐藤航陽が考える“通貨の未来”とは?その1

オン・ザ・エッヂ(後のライブドア)の堀江さんとメタップス佐藤さんの対談記事なんだけど、堀江さんは、ネットの領域が拡大して、いずれはネーションステートが溶けてなくなり、グローバル社会が実現すると予言している。

人は全て、複数の何らかのコミュニティに所属し、守られている。
それは、家族、友達、学校や会社の仲間、趣味の仲間、地域社会(町会とか)、部族、民族、国家といったものだ。

堀江さんが予言する、ネーションステートが溶けてなくなったグローバル社会というのは、個人が(所属するコミュニティを介さずに)グローバルネットワークと直接結びつく社会ということである。
原始的な獣の世界と一緒だ。
それは、社会の進化ではなくて退化に他ならない。

断っておくけど、私は、黎明期からネット業界で仕事してて、堀江さんとは間接的に関わっていたこともあるし(当時のエッヂと僕がいたサイバーエージェントは、ジョイントでアドネットワークビジネスを展開していた)、堀江さんは本当に天才だと思うし、大好きだし、私の世代にとっては当然だけどスーパーヒーローだ。

堀江さんは、国策捜査で会社を取り上げられて実刑判決を受けたので、ネーションステートを憎んでいるんだろうと思う。
(この点は、同じように国策捜査で公職を追放されて実刑判決を受けていながら、あくまでも体制を擁護する側であろうとする佐藤優氏とは異なる。)
ちなみに、今でも私は、あの堀江さんの実刑判決は間違っていると思うけどね。国策捜査と言っても、誰か悪い黒幕がいて「堀江さんをやっつけろ」と指示したわけではなく、佐藤優氏が言うところの「国家の内在的論理」によって、追放されたんだろうと思うけど。

 

話がちょっと脱線したけど、
ビットコインは、主権国家体制の存立を脅かしている。
なので、この際、マウントゴックス社のトラブルをきっかけに、ビットコインなんか潰れてなくなってしまえばいいと、私は思っています。