珍しいパターンの陳情

ただ今、開かれている、蕨市議会 令和3年(2021年)6月定例会において、珍しいパターンの陳情がありました。

本日 6月8日は、私が所属している教育まちづくり常任委員会が開かれたのですが、そこでこの陳情についての話し合いが行われました。

 

 

なお、請願と陳情という似たような仕組みがあり、

・請願 議員の誰かが紹介(支援する趣旨で仲介すること)するもの。
・陳情 議員紹介がないもの

という違いがあります。

これらは、誰でも、蕨市民以外でも出すことができます。

 

 

蕨市政の政策決定過程に参画するための、様々な方法のうちの一つです。

 

陳情の詳細情報

陳情第1号 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金のフィットネスクラブ活用に関する要望書 〔要望要旨〕   新型コロナウイルス感染症(COVID−19)を受けた新たな生活様式を余儀なくされる中、健康二次被害の懸念が顕在化しています。 …

だいたいにおいて、陳情は、国政レベルでのテーマについて何らかの主義主張をもった団体が、全国の市町村の議会に無差別に送っている、というパターンが多いのです。

もちろんこれはこれで無意味ではありませんし、自らの主義主張を推し広げていくための一つのやり方として、制度的に認められているものです。

 

 

今回のパターンは、本質は、

全国規模の業界団体所属企業の蕨市内の支部・支店が連名で、コロナ禍による業績悪化に対する業界支援を要請する趣旨のものです。

 

 

名目は、「コロナ禍で外出しにくくなった市民の健康二次被害を防ぐために~~」とロジックが強引である上に、コロナ禍で業績悪化している業界は他にも多々あるために、私が所属している会派:令政クラブは反対しました。採決の結果、この陳情を取り上げることについては反対多数で「不採択とすべきもの」と決しました。

 

 

請願・陳情というのは、何の事前のすり合わせもなくポンと提出しても、なかなか通すのは難しいものです。

議会においては、採択するか/しないか、すなわち、1か0かで結論を出さなくてはならないので、「言わんとすることは理解するし、支援したいが、その主張通りに取り上げることはできない」みたいな場合も、一律に「採択しない」という結論とせざるを得ません。

 

今回のパターンのような、全国レベルの業界団体所属企業の、蕨市内の支部・支店が、連名でその業界への支援を要請する、というような場合は、いきなり陳情をポンと出すのではなく、まずは、商店街・ビジネス団体などのタッチポイントを通じて、議会の議員・会派などにカジュアルな形でコンタクトを試みることをお勧めします。


市議会レベルで、今考えるべきテーマなど

まだ、「うちの市における政策案」という形で考えがまとまっているわけではありませんので、一般論として、郊外ベッドタウン都市の市議会レベルで、今の時点で考えるべきテーマはどんなことかな?というのを、だらだらと書いてみます。

要するに、以下は、精緻で体系的な意見・政策案という段階のものではなく、セルフブレストベースで考えながら書く、という感じです。

私としては、まだ何らの結論も出していませんので、ご意見あれば、お聞かせいただければ幸甚です。

 

 

 

市民への外出自粛の要請の類

これは、基本的には県レベルの話なので、市で出来ることはないかと思います。

 

市の職員が広報車を運転したり、ハンドマイクを持って歩き回ったりして、公園や繁華街などの人が集まっているところを巡回して外出自粛を呼びかけるべきだ、という意見も目にします。

これ、けっこう大変ですよ。
現場の職員は疲弊します。身が危険でもあります。
市レベルで、行政リソースが限られている中で、そこまでやる必要があるのだろうか?

防災無線、CATVの広報番組などの広報チャネルを用いて呼びかけるくらいなら、たいした追加的費用もかからないし、簡単に出来るかもしれません。

 

 

 

疫学的なアプローチ

これも、県レベルの話です。
市レベルで出来ることは、おそらく無いかと思います。

保健所は県が設置していますので。
(但し、中核市以上の市は、自前で保健所を設置していますので、自前である程度は考えないとならないですね。)

 

・・・と、思っていたのですが、

 

 

 

発熱外来の設置

ある方より、発熱外来を設置してはどうか?と提案を受けました。

東京・杉並区の病院で「発熱外来」のテントが新設|テレ朝news

感染の疑いがある症状が出た人たちを場所を分けて診療するため、東京・杉並区で病院の敷地に「発熱外来センター」のテントの設置が始まりました。 …

このような、病院や役所の駐車場などにテントを設置して、地元の医師会の協力を得て、輪番で医師会所属の医師に、新型コロナの疑いがある人の一次対応を専門に対応してもらう、というものです。

医療現場を守る効果があります。

 

これも、保健所レベルでないと、設置ができないのではないか?と思っていたのですが、

「発熱外来」を宮城県内初設置へ 登米市が市医師会と協議

新型コロナウイルスの感染増加に対応する緊急事態宣言を受け、登米市は17日、発熱を訴える患者を他の患者から隔離した場所で診察する「発熱外来」を、登米市民病院の敷地内に設置する方向で登米市医師会と協議していることを明らかにした。県内の自治体で発熱外来を設置するのは登米市が初めて。 同市では17日現在、新型コロナウイルスの感染者は確認されていない。 市によると、市内の開業医から「通常診療をしながら…

登米市では、地元の医師会に協力を求めて、登米市民病院の敷地内に発熱外来を設置するそうです。

登米市は、政令指定都市でも中核市でもなく、人口7.8万(奇しくも蕨市と同じくらいですね)ですので、自前の保健所は持っていません。

保健所を自前で持っていなくても、地元の医師会の協力を得られれば、発熱外来を設置することは可能のようです。

蕨市の場合であれば、医師会は「蕨戸田市医師会」ということで、範囲が戸田市・蕨市となっておりますので、蕨市と戸田市とで協力して設置する、というのが現実的かもしれません。

これは、一つのプランとして要検討です。

 

 

 

次亜塩素酸水の無料配布

また、この方からは、除菌効果がある次亜塩素酸水を製造して、無料で配布してはどうか、という提案もいただきました。

https://www.city.ebina.kanagawa.jp/guide/kenko/kansensho/1010556.html

海老名市では、無料配布しています。

数万円程度のキットを買えば、特に専門知識がなくても製造できるようです。

人的リソースに余裕があれば、これもありですが、配布方法をうまく考えないと、配布する際に三密を作ってしまうことになります。

 

 

新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく対応の類

平成24年(2012年)公布の新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づいて、全ての市町村は、新型インフルエンザへの対策の計画を作らなくてはならないことになっています。

https://www.city.warabi.saitama.jp/kenko/kenko/kansensho/1001850.html

蕨市でも、平成25年(2013年)に「蕨市新型インフルエンザ等対策行動計画」を作っています。

この法律は、本年、令和2年(2020年)3月に改正されて、この度の新型コロナにも適応されることになりました。

 

この蕨市の行動計画の中で、

・全市民に対する、優先順位をつけた上でのワクチンの住民接種
・生活関連物資の安定供給の確保
・遺体安置・火葬施設の確保

などは定められています。

この当たりは、それぞれが必要な段階になれば、担当部署が動き出すことになると思います。

 

 

市民個人/市内事業者への給付金の類

取り敢えず、国が、所得制限無しで一律、一人当たり10万円ずつ配ることが決まりました。

国のこの政策についても、ちょっといろいろ言いたいことはありますが、ここでは置いておきましょう。

国とは別に、市レベルでも独自に、市民個人あるいは市内事業者に給付金を配ろう、という動きが各自治体であります。

川口市が一律10万円独自支援金|NHK 首都圏のニュース

埼玉県川口市は、新型コロナウイルスの感染拡大で厳しい経営状況に陥っている小規模な事業者への緊急支援策として、独自に一律10万円を支給することを決めました。 川口市が一律10万円の支給の対象とするのは、製造業は従業員20人以下、商業やサービス業では従業員5人以下の小規模事業者で、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、経営が悪化するなかでも事業の継続を目指す事業者です。 …

例えば、川口市では、市内の小規模・零細事業者に、条件付きで、一律10万円の「支援金」を配布するそうです。
川口市は郊外ベッドタウンであると同時に「産業の街」でもあり、圧倒的多数の中小零細企業を抱えているという特殊性があります。

地方政治というのは、横並びでモノを考えて競い合う雰囲気があるので、当然、「ウチもやろう」という動きが出てくるはずです。

これについて、どう考えるべきか?

 

 

まず、配る相手としては、

・市民個人
・事業者(法人・個人事業主、フリーランスも含めて)

の両パターンがあります。

 

 

目的としては、

・生活を守るため
・地域経済を回すため・守るため

の両パターンがあります。

 

 

個人的には、こういう「お金を配る」って好きじゃないですね。どのようなパターンであれ、政府の介入って無条件に嫌いですね。

しかし、これは、個人的な「好き/嫌い」の話であって、
今、論ずるべきなのは、「必要かどうか、やるべきかどうか」という話です。

 

 

今は、それが必要であって、やるべき局面だろうか?

大規模な感染症の発生は、歴史上、何度も発生してきたものであって、そもそも予見できたリスクであったとも言えます。
この考え方に立って厳しい言い方をすると、事業者ならば商売をやる上で当然に見込んでおくべきリスクであったはずだし、個人ならば半年や一年分くらいの生活費はキャッシュで持っておきなよ、という話です。

他方で、ここまでの規模のものは、想定を遥かに超越したブラックスワンだとも言えます。

 

うーん、まあ、ブラックスワンですよね?

(それにしても、21世紀はブラックスワン多過ぎです)

 

 

今の状況を予見できたのは、ビル・ゲイツ氏くらいじゃないでしょうか。

 

 

市内の会社がバタバタと倒産されたら困る、失業を生むし、地域経済が壊滅するし、税収も減るから。経済を回すのは政府の仕事なので、支援するのは当然だ、という考えがあります。

他方で、
10万円なんて、社員が3,4人もいればあっという間に溶けてしまう程度の金額に過ぎないし、その後、結局盛り返せずに倒産するなら、配った10万円は死に金になってしまう、一時的な不満を和らげるだけのための無駄なバラマキに過ぎないじゃないか、という考えもあります。

それでは、100万円なら大丈夫なのか?
300万円なら?
あるいは、思い切って、売上減少分の全額補填なら大丈夫なのか?

いったい、いくら配れば、市内の倒産や失業の発生を防げるのか?

そもそも、そのお金はどこから出てくるの?

そもそも、いつまでコロナ禍による外出の自粛、経済の縮小が続くのか?
見通しにくいので、推計できません。

 

 

 

 

給付金について考えると頭が痛くなってきそうなので、ちょっと置いといて・・・

 

 

 

そもそも、市レベルの(広義の)経済政策における、ファーストプライオリティは何か?

市内企業の倒産を防ぐ、失業の発生を防ぐ、市民が住宅ローンが払えずに持ち家を手放さざるを得ないような事態を防ぐ、これはもちろん大事ですね。
とても大事です。

しかしながら、最も重要な、何よりも優先しなくてはならないこと、そして、これだけは実現しなくてはならないという最低限のこと、は何でしょうか?

 

経済的な理由による自殺を防ぐ

これじゃないでしょうかね?
どうでしょうか?

 

 

 

自殺対策

では、経済的な理由による自殺を防ぐためにはどうすればいいのか?

 

全ての市町村は、国からの要請で「自殺対策計画」というものを策定しております。
個人的には、自殺する理由と対策に、それほど地域差があるとは思えないのですが、とにかく、市町村がそれぞれ独自に対策計画を作ることになっています。

蕨市でも、

https://www.city.warabi.saitama.jp/kenko/shogaisha/seishin/1001966.html

「蕨市自殺対策計画」というものを、昨年、平成31年(2019年)3月に策定しています。

ここで書いてあることを、ざっくり斜め読みした上でまとめると、

市レベルで、経済的な理由による自殺を防ぐための対策は、

・生活保護制度
・生活困窮者自立支援制度

この2つです。

 

 

生活福祉資金|全国社会福祉協議会

「新型コロナウイルス感染症を踏まえた生活福祉資金制度による緊急小口貸付等の特例貸付」について の情報は本会トップページからご確認いただけます。 「生活福祉資金貸付制度」は、低所得者や高齢者、障害者の生活を経済的に支えるとともに、その在宅福祉及び社会参加の促進を図ることを目的とした貸付制度です。 …

社協がやっている生活福祉資金

 

小学校休業等対応助成金・支援金(4月以降分)の申請受付を開始します

このホームページを、英語・中国語・韓国語へ機械的に自動翻訳します。以下の内容をご理解のうえ、ご利用いただきますようお願いします。

厚生労働省が直でやっている、小学校休業等対応助成金・支援金

 

新型コロナウイルス感染症により影響を受ける中小・小規模事業者等を対象に資金繰り支援及び持続化給付金に関する相談を受け付けます

【2020年4月13日発表資料差し替え】「中小企業 金融・給付金相談窓口」の直通番号を変更しました。また、「よくあるお問い合わせ」を更新しました。 【2020年4月9日発表資料差し替え】「よくあるお問い合わせ」を追記しました。 経済産業省は、令和2年度補正予算案の閣議決定を受け、これまでの資金繰りに関する相談に加え、「中小企業 金融・給付金相談窓口」において給付金関係の相談を受け付けます。 …

経済産業省がやっている、新型コロナウイルス感染症により影響を受ける中小・小規模事業者等を対象とした「資金繰り支援及び持続化給付金」

これらの、国レベル、県レベルの給付金・貸付金をフルに使ってもらい、貯蓄を全て吐き出し、持ち家や自家用車などの資産がある人はそれらを売り払い、それでも尚、生活が立ち行かない、という人にとっての、セーフティネットが、

・生活保護制度
・生活困窮者自立支援制度

となります。

 

市レベルでのファーストプライオリティは、この2つの制度が、しっかりと機能するように、漏れが生じないように、備えをしておくことではないか、と。

 

 

 

生活保護制度は、文字通り「最後の」セーフティネットですね。

不正受給が問題になる一方で、経済的に困窮して悲観し、生活保護の申請をする前に自殺を選ぶ人たちもいます。自ら経営する会社を潰すくらいなら死んだ方がましだ、という人たちもいます。コロナ禍でダメージを受けて、本当に生活保護が必要な状態に陥ってしまった場合は、自ら死を選ぶよりも、この制度を使ってもらうえるようにしなくてはなりません。

生活保護は、国の制度であり、言わば市は下請けで運用しています。
原資も、原則として全額が国から市に支払われることになっています(3/4が国庫負担金、1/4は地方交付税交付金として)。ケースワーカーの人件費などの事務経費も国から支払われます(地方交付税交付金として)。

生活困窮者自立支援制度というのは、2015年に新設され、「生活保護の一つ手前の制度」と言われています。サービスメニュは、市が独自に設けることとなっており、費用負担が自前のものもあります。内容はかなり幅広く、「貧困の連鎖を防ぐ」という視点での、子供の学習支援などもあります。

 

制度は既にあるのです。
これが、しっかり機能するように備えをしておくことが大切です。

 

 

 

生活保護増大への備え

この2つの制度の利用者数・総額が拡大することを想定して、準備しておくことが、今の時点では必要なわけですが、

特に、重要なのは、ケースワーカーの増員です。

前述のように、ケースワーカーの人件費は、地方交付税交付金として、国が負担しています。しかしながら、人は、結局のところ、市の職員がローテーションの一環として配属されていますので、来月から急に1人増やす、ということが簡単にできるものではありません。
(尚、資格が必要な専門職ではありません)

蕨市役所の当該部署を見渡してみると、若手の職員が多く配属されているようですね。
また、受給者80世帯につきケースワーカー1人を配属しなくてはならないことになっているのですが、一昨年6月時点でのケースワーカー人数は12人で、平均して1人当たり被保護世帯102世帯を担当しているとのことで、既にケースワーカーは3人強不足していることになります。
増員しておくことが必要かなと思いますね。

 

 

 

再び給付金の話へ戻る。ある程度の倒産・ある程度の失業への備え

やはり、

・生活の支援

は、ある程度は必要か。

 

難しいのは

・完全に公平にやるのは無理。
どこかで不公平は必ず生じる。不満が出てくる。

・スピードが重要。
熟議を重ねている余裕はない。

・妥当な金額、条件は分からない。
「出せる金額」ということで総額をスパッと決めて、それを割り算で一人当たり給付額を決めるようなアプローチしか取り得ないのではないか。

 

つくづく、危機のリーダーは大変ですね。

 

 

 

DV・児童虐待が増えることへの対応

既に、人々の心がささくれ立ってきつつあるのを、折々に感じます。
今後、先が見えない家こもり生活、収入減、資産の毀損、失業の恐怖が続けば、ますます人心が荒廃してくでしょう。

家族が一日中、家にいて顔を突き合わせていますので、危機を前にして、お互いの存在のありがたみを実感して結束が高まる家族がある一方で、ギスギスしてケンカばかりという家族も出てくるでしょう。

やはり、DV・児童虐待は増えるでしょうね。

今でも市レベルでの対策はしているのですが、一層の強化が必要になるかも。

 

 

 

オンライン教育どうするか

いつになったら小中学校が再開できるか分かりません。

オンライン授業、これはやるしかないです。
今、やらないという選択肢は無いのではないかと思料。

道具(コンピュータ、ネットワーク回線などの設備)もないし、ノウハウもない。お金もかかるし、本来なら、1年、2年といった長い時間をかけて導入すべきものですが、無いなりに考えて今すぐやるしかない。

 

いわゆるゆとり教育の時代に学校教育を受けた世代の学力の低さを揶揄して「ゆとり世代」と呼んだりしますが、今の小中学生が「コロナ世代は学力が低い」などと言われることは、これは何としても防ぎたい。

ちょっと考えてみますので、別稿にて。


この本読んだ『維新支持の分析』

善教将大, 2018, 『維新支持の分析 ポピュリズムか、有権者の合理性か』

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先月、令和元年6月の蕨市議会議員選挙で、日本維新の会の新人が、蕨市議会史上初めて当選したところであり、まさに今行われている参院選でも埼玉県選挙区において維新の候補が立候補しているところでもあり、そもそも維新って何で伸びてるの?そもそも、正式名称なんなん?維新の党?維新の会?日本?大阪??と、調べようと思っていたところ、タイミングよく隊長の書評を拝見し、読んでみた次第。

【書評】有権者の態度を読み解く『維新支持の分析』の迫真度 : やまもといちろう 公式ブログ

ずっと「面白いですよ」と周囲には薦めていたものの、書評として書くべきタイミングを失していた本書、ちょうどこの本が出るというころに大阪府知事・松井一郎が「都構想実現のために2月には辞任する」と年末にいい物議を醸していたわけであります。 松井・大阪府知事2月までに辞職表明へ 公明を批判 …

著者は政治行動論の学者であり、本書もサーベイ実験の積み重ねによる学術書なので、お値段もお高いし、読みづらいことこの上なく、読み終えるのにかなり時間がかかってしまった。

書評は、隊長の文章がよくまとまっているのでそちらをご覧いただくとして、ざっくりまとめると、大阪における維新の強さの理由は、いわゆるポピュリズムによるものでも橋下人気によるものでもなく、大阪の利益代表としての政党ラベル強化の戦略によるもの。逆に、他の地域では弱くて当たり前。今の路線で行く限り、これからも他の地域で伸びることはあり得ない、という感じです。

 

更に推し進めると、
先月の蕨市議選で維新が一議席を獲得したのは、維新という政党への支持の有無、強弱とは無関係だった、と言えましょうか。

本書の知見だけからそこまで結論付けるのは飛躍し過ぎなのですが、私の肌感覚と合わせて言うと、概ねそんなところかと思います。

 

 

読書メモ

• 大阪における維新の強さの理由
自らの政党ラベルを、大阪の代表者として機能させることに成功した。
断片化された個別利益の代表者としてではなく、大阪の利益代表として有権者の目に映った。
ここで言う「大阪」は、大阪市や大阪府ではなく、広域的で抽象的な都市空間としての「大阪」を指す。

維新所属の候補者は、たとえ、同一選挙区内に維新候補が複数いたとしても、自らの個性をアピールすることなく、維新ラベルを強調する戦略を採用することにより、維新ラベルが投票選択に与える影響を強化した。
他党においては、地方レベル、特に市町村選挙では、一般的に政党が機能しにくく、有権者も政党より個人を重視する傾向を強める。大選挙区制のため。

維新支持は、熱狂的なものではない。むしろ不支持の方が熱狂的。

• 維新はポピュリスト政党か
否。
相対的には、ポピュリズム態度を持つ人に支持されている政党は、日共。
ここで、ポピュリズム態度を持つ人の定義は、アッカーマン:人民主義、多元主義、エリート主義の政治的態度が強い人。

• 橋下個人への支持の高さによるものか
橋下個人への支持と、政党としての維新への支持はリンクしない。
そもそも橋下個人も、動員戦略に成功していない。市長就任後、橋下支持率は下がっている。そもそも、いわゆるポピュリスト首長の多くは、就任後、支持率を低下させている。

• なぜ大阪だけでしか支持されないか
大阪の代表としての政党ラベルが強いことの裏返し。

• 維新支持者の素性
批判的志向性を持っている。
いわゆるポピュリズムに煽られる愚かなマスではない。
支持態度と投票行動の関連性が、他党と比べて高い。

• 都構想否決の理由
大阪府民に内在する懐疑心とでも言うべき批判的志向性によって、維新支持者の一部が、反対に流れた。

• 東京都における都民ファ躍進の理由
ポピュリズム態度の強弱とはリンクしていない。
保守政党ではなく、革新政党として認識されている。
背景にあるのは、都議会への問題意識。


災害時における市議会議員の役割

先日、蕨市議会において、掲題の講演会があった。
(正確に言うと、議会改革特別委員会において、外部講師をお呼びした講演会・勉強会)

講師は、鍵屋一氏で、元 板橋区の行政マン。現在は大学教授かつ、複数の防災系の非営利団体の役員などを務めている方。

 

なかなか面白い話を聞いたので、幾つか、ファインディングスと、私なりの所見を以下にメモ。

 

・大災害時の地方自治体では、行政の現場は、とても忙しい(当たり前だが)。
本来の行政サービスの原則である、公平性が守れないケースもある。

これを、公平ではなくても止むを得ないと考えるか?何が何でも公平でなくてはならないと考えるか?

大災害発災時に、公平にデリバリすることが不可能であるが故に、せっかく届いた救援物資が受け取ったまま放置されていた、なんてケースをどこかで聞いたことがある。このような場合、遠くの避難所に行き渡らないとしても、目の前の避難所に取り敢えず配布することを良しとするかどうか?

 

・地方自治体における、地方議員は、どこの政党・会派の人も、多かれ少なかれ、出身地域の利益代表としての性格を持っている(これも当たり前)。

「よその避難所には◯×は届いているのに、うちの避難所には届いていない!」というケースがあれば、その地域の議員の立場としては、行政に対してクレームをつけざるを得ない。

このような場合、現場の行政マンとしては、その議員からのクレームへの対応のプライオリティを上げざるを得ない。

個別の議員としては、このような状況下では、「言ったもの勝ち」なので、とにかく自分の地盤とする地域に利益誘導するしかない。
(個別の議員の立場としては、それ以外の選択肢はない。)

結果として、無駄なコミュニケーションコストが発生し、全体最適も実現しない、ということにもなりかねない。

 

・大災害時においては、とにかく行政の人的リソースが足りない。

無駄な作業は、できるだけ少しでも省きたい状況。
例えば、議員からの電話を一本受けるだけでも、5分なり10分なり時間がかかり、その分、他の作業ができなくなってしまうことになる。(当たり前だ)
それを必ずしも無駄とは言えないが、現実的には、全体最適の実現を阻んでしまうことも少なからずあるだろう。

 

・大災害時においては、現場の行政マンのメンタルヘルスケアがぼろぼろ。

例えば、自治体のBCP計画(有事の役割分担を定めたもの)において、ご遺体処理とか遺族対応の役割を割り振られている部署があったりする。もちろん現場の行政マンは一所懸命に目の前の仕事をこなすだろうが、そんな仕事なんて経験したことも訓練したこともない。

組織論的に言えば、行政組織のトップ・上司が守るしかないのだろうが、議会としても、現場の行政マンのメンタル面をいかに守るか、という視点が必要。

 

・大災害時における、議会・議員の役割は、最小限に留めるべき。

行政の邪魔をしない、自らの地域への「過度の」利益誘導を図って全体最適の実現を阻まない。
「適度な利益誘導」は、必要なものであり、議員の本分でもあるのだが、線引きは難しい。

今回の講演者である、鍵屋氏からは、先行自治体事例を挙げつつ、
「議会で災害対策会議のような有事の組織を設け、行政に対して情報を取りに行ったり、逆に情報を提供したり、何らかの要望を投げかける際は、この組織を通じて一元的に行うのがよい」
という提言があった。

私も、議員が地域の利益代表としての役割を果たしつつ、行政の現場の邪魔をして全体最適の実現を阻むのを防ぐやり方としては、このくらいが妥当かと思う。

 

 

 

また、元 行政マンならではの、行政マン的な視点・立場の本音話みたいなものの片鱗も聞くことが出来て、そちらも面白く感じました。

なかなかそういう話を聞く機会はないものですから。

市役所の建物の中で、市の行政マンと日々接する機会はありますが、お互いに立場が違うので、なかなか本音の話はしません。友達じゃないし。それでも、ふっとした会話の中で、ポロッと本音を漏らしてくれる人もたまにいたりして、それはそれで嬉しく思いますが、特定の議員と仲良くすることは、その行政マンにとってもキャリア上のリスクになるはずですし、一線を越えずにw お付き合いするように心がけておりますwww


議会開会中はどのくらい忙しいの?

さて、ただ今、蕨市議会は、2017年6月定例議会が開会中であります。

定例議会は、毎年、3の倍数月に、ほぼ1ヶ月間に渡って開かれます。
この1ヶ月間は、毎日朝から晩まで何らかの会議をやっているわけではなく、

蕨市議会 : 蕨市議会 会期日程 平成29年第2回定例会

このページの載っている通り、
1日会議して→3日休んで→1日会議→委員会(分科会のようなもので、全員参加ではない)を3日間に分けてやって→1週間休んで→3日会議・・・

みたいな感じで、意外と「休会」の日が多いものです。
国会中継では、よく深夜に国会が開かれていたりしますが、蕨市議会においては、朝10時に始まって、遅くてもせいぜい17時くらいで終わります。早い時は、午前中で終わってしまう時もあります。

 

 

「今、忙しいの?」
と聞かれれば、

概ね、忙しそうなふりをしておいた方がトクな状況が多いので、

「いやー、忙しいですねー!」
と応えますが、

実際のところ、どうかと言うと、

・手を抜こうと思えば、いくらでも手を抜ける。準備を何もせずに、会議の時はただ黙って座っているだけで。
・しっかりやろうと思えば、いくらでも調べたり考えたりするべきことはある。むちゃくちゃ忙しい。

という感じでしょうか。

 

議員報酬の金額は、成果報酬型ではなく固定型なので、頑張っても頑張らなくても一律です。

サラリーパーソンのようなクォーター毎の人事評価があるわけでもなく、4年に一度の選挙において、成果が総合的に評価されることになるわけです。

 

 

結局のところ、最も時間がかかるのは、何かを調べる部分です。
たったの5分間の発言のために、何日も何週間もかけて調べたりすることもあります。

特に、私のスタイルとして、3C分析の中でも市場環境と競合のデスク調査を徹底的にやって、情報をとにかく幅広く大量に集めて、然る後に、仮説検証型で考えをまとめていく、というやり方を取っているので、頑張ってやろうと思えば、だらだらととにかく時間がかかります。

 

また、議会におけるオフィシャルな発言は、全て記録され、半永久的に残ります。
事後的に訂正することは、限りなく難いです。

ビジネスであれば、今手元にある材料だけで、限りある時間の中で解を導き出して取り敢えず動き出し、後から新たな材料が出てきて考えが変わったら方針転換する、ということがよくあります。
特に私の本業のネット業界であれば、パーフェクトであることよりもスピードを重視し、ベータリリースして、本番環境を随時いじりながらベストエフォートを目指す、というアプローチが一般的です。

議会活動においては、ベストエフォート型は許されず、全ての発言は、完璧な、最終的な結論であることが求められるのです。

 

 

ということで、今は忙しいです。


【蕨市議会】6月定例議会が始まりました。

本日2017年6月1日、蕨市議会2017年6月定例会が開会しました。

 

蕨市民会館の耐震工事に合わせた、エレベータ設置附帯決議のレスポンス

2017年7月より、蕨市民会館の耐震補強+αの工事が始まります。

hoya_t blog 2017/5/13 : 蕨市民会館の耐震補強等工事の概要、スケジュール

この一連の工事の予算(2017年度一般会計予算)を、2017年3月定例会で可決したわけですが、その際に、

・バリアフリー化工事(要するにエレベータ設置工事)を追加すること。
・そのために、2017年6月定例会で補正予算を組むこと。

を、議会では附帯決議しています。
(全会一致ではない)

 

議会の附帯決議というのものは、行政(市長)を法的に拘束するものではありませんが、これすなわち市民の意思ということになるので、とても重いものです。

 

この附帯決議に対する、行政側(市長側)のレスポンスが焦点となっていましたが、まさかのゼロ回答でした。

 

私が所属している自民党系会派:新生会では、これにどう対処していくか、これから話し合って決めることになっています。

 

蕨市議会 : 議案第42号 工事請負契約の締結について(市民会館等耐震補強等工事)

この耐震工事は、金額規模が大きいので(入札による落札額:2億76百万円)、工事を発注する契約が、議会同意案件となっています。
(金額が小さいものは、議会の同意は不要)

言わばこの契約案は、人質のようなもので、これを否決することで、附帯決議に対するゼロ回答について不満を示し、再考を促す取引材料とすることも可能です。

 

しかしながら、工事のスケジュールは、2018年1月6日完成見込みで、それもかなりキツキツのものだそうです。

これが少しでも遅れると、成年式に間に合わない可能性があります。

 

かように考えると、「契約案の否決」というのは、かなりの悪手であります。

行政側(市長側)も、議会がそこまではやらないだろう、とタカをくくって「附帯決議へのゼロ回答」とレスポンスしてきたものと考えられます。

議会最大会派である新生会の対応が注目されるところです。
(ニュースの解説記事風にw)

 

 

地元錦町ネタ:雨水排水工事の契約案件

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毎年少しずつ、富士見球場から上流方向に向けて整備されている雨水排水管工事ですが、今年はセブンイレブン錦町2丁目店から、居酒屋じゃじゃ馬の丁字路までの区間の工事を行うとのことです。

この辺りも、大雨の時によく床下浸水が発生しやすい場所ですね。

道路冠水・家屋床下浸水時に、クルマが道路を走ると、波が発生し、家の中までどす黒い汚い波が押し寄せてきて頭にくる!道路冠水時はクルマは通行止めにして欲しい、という意見も聞いたことがあります。

家の玄関のドアというものは、通常は、浸水することを想定して設計されているわけではないので、隙間から波が入ってくるそうです。

この工事の契約案件が、本定例会に上程されています。


蕨市議会 2016年9月定例会の一般質問の通告内容

ただ今、開会中の蕨市議会 2016年9月定例会において、以下の6点の一般質問発言通告をしております。
一般質問とは、各議員が好きなように政策提案をしたり、行政側を問い質したり出来る制度です。

  • 富士見球場改修計画と 地下調整池建設計画、及び周辺の内水対策について
  • 西公民館のエレーベーター設置計画について
  • 自然災害情報の公開について
  • 市立図書館の貸出サービスについて
  • 歴史民俗資料館の情報公開について
  • アウトメディア推進事業への取り組みについて
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以下、解説など。
  • 富士見球場改修計画と 地下調整池建設計画、及び周辺の内水対策について
球場改修計画の今後の見通しはどうか。
地下調整池建設計画の今後の見通しはどうか。
周辺の内水被害状況と、対策、今後の見通しはどうか。

 

錦町の地元ネタ。

錦町2丁目の富士見球場近辺は、大雨の時に道路冠水、床下・床上浸水が発生しやすい場所です。

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↑この場所。この写真を撮った後、さらに水深は深くなりました。

hoya_t blog 2016/8/24 : 台風被害など

つい先日の台風の折りにも、道路がかなり冠水して、通行止めになるほどでした。

hoya_t blog 2016/6/29 : 蕨市議会 2016年6月定例会 一般質問の内容#錦町雨水管渠築造工事(28-1工区)について

↑こちらのエントリで説明した通り、本年度、富士見球場北西端(図のB地点)からセブンイレブン蕨錦町2丁目店の角(A地点)までの道路の下に、大型の雨水排水管を通す工事を進めています。

推進工法という、それぞれの端の2箇所のみに穴を掘り、管を押し出しながら設置していく方法ですので、この2地点間の道路全面を掘り起こすわけではありません。

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本日2016年9月21日の、セブンイレブン角の様子。バキュームカーでどす黒い汚泥を吸い出しながら、何かの作業をしていました。

雨水排水管そのものが、貯水機能を持ちます。今年度の上記の部分だけで1,100tの貯水機能があるそうです。
かなり雨水排水機能が向上しますので、効果に期待します。

郷南公園の地下には、既に調整池(雨水貯水池)が設置されています。

更に、富士見球場の地下にも同じように調整池を造る計画があります。

2008年3月の議会答弁で、「ある程度下水管を延長して(その後に)地下調整池を造る」という趣旨のものがあり、そろそろ調整池を造るタイミングなのかな?と、今後の予定を尋ねる予定です。

 

合わせて、管理棟、音響設備、看板類が老朽化している野球場そのもののリニューアル計画についても尋ねるものです。

 

 

 

  • 西公民館のエレーベータ設置計画について
今後の見通しはどうか。

 

これも地元ネタ。

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西公民館。数年前の、西ふれあい祭りの時の様子。

 

西公民館は2階建てですが、エレベータが設置されておりません。西公民館と、社会福祉法人蕨市社会福祉協議会が所有・運営する老人福祉センター 松原会館とは、敷地が隣接し、各階で連結されており、一体となって利用されることも多いのですが、こちらにもエレベータはありません。

尚、市内7ヶ所の公民館のうち、エレベータが設置されていないのは、
・中央公民館
・西公民館
の2ヶ所だけです。

 

高齢化が進む中で、地元や利用者から、以前よりエレベータ設置の要望が強く在りました。

議会でも何度も取り上げられてきたテーマです。

西公民館のエレベータは、これは必要なのです。
なので、行政は、タイミングは不明ですが、今後、必ず設置することになります。
オフィシャルにはそのような計画は今時点はありませんが、今更私が議会で取り上げなくても、もはや確定路線だと思います。
後述するように、本年度(2016年度)末に発表される公共施設等総合管理計画(ファシリティマネジメント計画)の中で、西公民館へのエレベータ設置時期が、明確に示されることになると思います。

エレベータが設置されると、市長も、過去に議会で取り上げた各議員も、「私がエレベータ付けました!」と一斉に成果をアピールすることになります。
地元の議員の私としては、その際に「私こそがエレベータ付けました!!」と、他の議員に負けじと強くアピールしなくてはならないので、言わばアリバイ作りのようなもので、オフィシャルな場で、この種の質問を今のこのタイミングでやっておかなくてはならない訳です。
もちろん、今まで何もやって来なかった訳ではなく、会派の予算要望などをを通じて行政当局への要望はしてきています。

 

 

議会における、市当局の答弁の様子などから、当局の本件に関する対応を時系列で追ってみますと、以下のようになります。

2012年9月議会 教育部長の答弁
耐震工事を行う際に、同時にエレベータ設置工事を行う方向性を示す。

教育委員会といたしましては、今後、建物全体の耐震性を高めるための補強工事など施設全般にわたる大規模改修をする際に、財政状況などを勘案しながらエレベーター設置についてもあわせて検討してまいりたいと考えておりますので、ご理解を賜りたいと存じます。

2013年 西公民館の耐震診断を実施。結果は、「OK、現状問題無し」
耐震工事が不要になってしまった。

2014年12月議会 教育部長の答弁

現状においてはエレベーターの設置につきましても、先ほどの松原会館とのつなぎの部分と同様に、まず松原会館のほうの耐震化計画等の動向により判断をしていきたいというふうに考えております。

この時点で、松原会館は耐震診断の結果はNGが既に出ている。
言わば、松原会館を所有・運営する社会福祉協議会にゲタを預けた形。

2016年6月議会 教育部長の答弁

平成25年度に耐震診断を実施いたしまして、耐震性能はあるとの結果が出ておりますが、昭和53年4月の改築以来、38年が経過しておりますので、今後、施設の長寿命化を図るための大規模改修などについても検討する必要が出てくるものと考えております。そうした場合には、本年度策定されます蕨市公共施設等総合管理計画で示されます基本的な方針などを踏まえながら、エレベーター設置につきましてもそういったことも含めまして、その中で議論してまいりたいと考えております。

2016年度(本年度)に策定中の蕨市公共施設等総合管理計画(ファシリティマネジメント計画)の中でエレベータ設置計画を示す予定、と。
言わば、逃げの答弁だが、行政マン的には無難な答弁と言えましょう。

松原会館。
左奥の3階建ての建物は、社会福祉協議会の所有であるものの、事実上、西公民館と一体となって運営されています。
1970年 平屋建てとして新築
1976年 2,3階を増築
1992年 大規模改修
2013年 耐震診断の結果:増築した2,3階部分がNG

 

松原会館は、上記の通り、現状では危険なので、建て替え・耐震補強・廃止のいずれかを意思決定しなくてはならないのですが、社会福祉協議会は、そもそも組織の成り立ちからして、大きな内部留保もなく、収益事業などの自主財源を持っておらず、従って、借り入れを起こすことも不可能なために、自前での建て替え・耐震補強をすることは難しく、今後の対応策については暗礁に乗り上げています。

結局のところ、市が引き取って建て替えるしか無いだろう、というのが私の結論で、市全体のファシリティマネジメントの中で、松原会館の建て替え・改修計画を位置付けることを、以下の通り2015年3月議会で主張したところです。

hoya_t blog 2015:3/10 : 蕨市議会 2015年3月定例会の一般質問通告しました。#公共施設等マネジメント白書について

 

 

まあ、といった状況で、本年度末(2016年度末)には、具体的な設置時期が示されるでしょう。

 

 

問題は、お金ですよね!
エレベータ設置って幾らぐらいかかるんだろう?
さっぱり想像つかないですね?

 

調べてみると、2003年度に、東公民館と南公民館にエレベータ設置工事が行われていることが分かりました。

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↑ 2003年度(平成15年度)決算書より

2003年度 当初予算額(2003年3月時点) 50,300千円(両公民館の合計で)
2003年9月議会での補正予算 +18,924千円(増額)
2004年3月議会での補正予算 -4,418千円(減額)
決算額(2004年9月議会) 57,382.5千円

となっていました。

経緯を想像すると、おそらく、2公民館合わせて、5千万の予定で当初予算を通したものの、もっと膨らむ事が分かり、9月に増額補正をして、ちょっと安く済んだので年度末に減額補正をした、というところかと。

ということで、

南公民館のエレベータ設置費用 27,667,500円
東公民館のエレベータ設置費用 29,715,000円

であったことが分かりました。
財源については、資料だけからは分からず。つまり、全額自主財源(市のお金)ではなくて、国なり県なりからの補助金を得られた可能性がありますが、その有無までは分からず。

意外と高いですね。(この半額くらいかと思ってた)
尚、このエレベーターは、(今これを書いている時点では未確認ですが、おそらく)9人乗りの、車イスでも使えるタイプで、公民館に設置するならばこのサイズは必須だと思います。

2003年当時と比べると今は建築費は高騰しているので、もっとかかるそうです。
また、市内の建設業の先輩に聞いてみると、西公民館は躯体が古いので、構造補強が必要になる可能性があり、その場合はもっと金額が膨らむ、とのことでした。

ということで、ざっくり35~40百万くらい?
よく分かりませんけど。
前述のように、全額自主財源ではなく、国や県からの補助金を得られる可能性もあります。

最近のエレベータ設置工事の相場観を知るためには、よその複数の自治体で、最近、公民館にエレベータを増設工事したところの決算額を調べてみればいいのですが、ちょっと今そこまで手が回らず。
(一般質問の当日の自分の出番の時までに余裕があれば調べます)

 

 

  • 自然災害情報の公開について
市内及び荒川の自然災害情報は、どのように管理し、公開しているのか。
これらを、オープンデータの手法でリアルタイムに公開してはどうか。

 

蕨市に起こりうる自然災害は、主に、
・地震
・大雨による内水災害(都市型水害)
・荒川の決壊による浸水
となります。

・地震は、広範囲に渡って、同時に起こるものです。
・内水災害は、発生しやすい場所はだいたい決まっており、そこを中心に、じわじわ広がっていきます。
・荒川の決壊による浸水は、堤防決壊場所にもよるので、予測は難しく、そもそもどっちの方向から水がやって来るかも分かりません。

地震の場合はともかく、内水災害の道路冠水、床上・床下浸水の状況や、荒川が決壊した場合の浸水エリアと深さについては、災害発生時においては、できればリアルタイムに把握した上で、対策を練りたいところです。

災害発生時は、ネットやテレビなどで情報収集することになりますが、行政が保有しているデータもあるはずなので、これらをリアルタイムに公開する仕組みを整えてはどうか、という提案です。

各自治体・国や県の機関などがオープンデータで情報をフィードすれば、それらをアグリゲートして見れるようにするアプリなりwebサービスが出てくるはずので、便利かと。

 

また、当面は、上記のようにリアルタイムというのは難しいかもしれませんが、内水災害の被害状況については、事後的に公開してほしいですね。

・○☓地区の何番地で3戸、床下浸水
・ここからここまでの道路が、約20cm道路冠水
みたいな感じで、マップ上に示してくれるといいと思います。

「この前の台風で、どのくらい被害があったのか?」というのは、よほどひどい被害でない場合はマスメディアに出てくることはありませんが、誰もが知りたがっている情報です。
現状では、これらを網羅的に把握しているのは、各自治体だけだと思います。

 

 

  • 市立図書館の貸出サービスについて
自宅・職場等への配送サービスを実施してはどうか。

市立図書館の開館時間は、
平日は、10-18時
休日は、9-18時
となっています。

平日昼間働いていたり、学校に通っている人は、なかなか市立図書館に行くことが出来ません。休日は休日で、遊びや家族サービスに忙しく、図書館なんか行ってるヒマはない、という人は多いと思います。

以前より、開館時間を延長してほしいという要望が多々ありました。

現実的には、人繰りとコストの問題で実現していません。今のところ、実現のための具体的な予定もありません。

そこで、貸出サービスを拡大して、市内の自宅や職場に配送してくれるサービスをやってはどうか、という提案です。

詳細はこれから調べますが、幾つかの自治体で先行事例があります。

梱包資材の費用と配送料(図書館から発送する送料と、読み終わった後の返却の送料)費用は、クレジットカード払いなり着払いなりでユーザ負担とします。
あるいは、返却のみは夜間に図書館の返却ボックスに返しに行ける、という人は、直接来てもらっても構いません。

図書館からユーザへの発送は、郵便や民間物流会社を使わなくても、蕨市自身が「行政連絡員」という文書通信のための物流ネットワークを持っており、わずか1通信当たり@12.79円で4日間以内に市内どこにでも発送することが可能です。

問題は、配送するに当たり、梱包、発送、受領開封の工数が発生するということです。(厳密に言うと、梱包資材の保管と作業を行うためのオフィス家賃も発生します。)
この人件費負担をどうするか?

総務省法令データ提供システム : 図書館法

(入館料等)
第十七条  公立図書館は、入館料その他図書館資料の利用に対するいかなる対価をも徴収してはならない。

図書館法上、公共図書館は無料でなくてはならないという原則があるのですが、何か、配送に関わる人件費分をユーザ負担とする方法がないものか?
これから調べてみます。

実際、ユーザ視点でみたら、個人的には、発送料と人件費負担合わせて@2~300円くらいならまあ払ってもいいかな、という気はします。Amazonマーケットプレイスの国内配送料が@257円ですし。プライシングはもっと練った方が良いですけど。
ある程度ボリュームがないとイニシャル投資分を回収できないので、当初1年間は無料キャンペーンかな。あるいは、1,000円単位でプリペイド制にするとか。
アウトソーサーに丸投げ出来れば一番ラクですけど。ツタヤがやってくれないかなw

 

 

 

  • 歴史民俗資料館の情報公開について

ストックしている写真・地図・文書等の資料や紀要等の成果物の全てを、ネット上で閲覧しやすく公開してはどうか。

中山道沿いに建っている歴史民俗資料館、実は行ったことないな~という人が多いかもしれません。

郷土の資料を収集、保管し、研究して、紀要という形で発表しているのです。

写真(航空写真を含む)、地図、文書などの2次元のデータについては、できるだけネット上で(もちろん、著作権や肖像権などのライツの適切な処理をした上で)公開してもらいたいと思います。

今、蕨市webサイトの上で見られるのは、ざっと見たところ、↓これくらいかな?

蕨市webサイト : 写真で巡る蕨の昔

うーーーん、ちょっと控えめに言って、見にくいですかね?

撮影場所を、地図上で示してほしいですね。更に、現在の写真を横に乗せて、比べられると面白いですね。

今どきChrome非対応で、IE8以上対応(9推奨)となっているので、2011年ころ作ったものですかね。

 

 

まあ、こういった、歴史的写真、寺社仏閣旧跡の情報というのが、今までの歴史民俗資料館が集めてきた郷土資料の中心だったと思うのですが、これから力を入れて欲しいのが、過去の災害情報です。

池だった場所、用水路があった場所、田んぼだった場所、よく大水が出た場所などが、地図上で見やすくわかりやすいようにしてほしい。

明治時代の荒川決壊のときの様子などを、古老に語ってもらって、ムービーで見れるようにしたりしてほしい。

言うならば、自然災害版の大島てるのようなサービスが欲しい。

 

過去の災害情報というのは、口伝えでその地域には伝わっているものの、意外と新住民は知らなかったりします。そのような方々への注意喚起になります。

また、これから蕨市に移住することを検討している人たちにとっても、有用な情報になります。

 

 

 

  • アウトメディア推進事業への取り組みについて
アウトメディアとは何か。
市内におけるアウトメディア運動に対して、行政はどのように関与しているのか。
本市のアウトメディア推進事業の目的と、これまでに得られた成果、今後の見通しはどうか。

(書き途中です。)

あああ